- ROBO Production Project Team -

　今年度は、ロボットから医療機器へのInnovationを目標に「iBuki」と[Baby Informer]の研究開発を行った。

　「iBuki」(いぶき)は、尿糖値管理デバイスとして、年々増加する糖尿病を予防するための健康管理機器として開発した。糖尿病患者は全世界で４億人おり、2040年には６億人以上になると予測されている。(IDF Diabetes Atlas 2015より)　その割合は、10人に１人が糖尿病患者という驚くべき値である。糖尿病は様々な合併症をまねく恐ろしい病であることは解っていても、食生活が多様化している現代にとって、その予防は食事の管理や運動といったことに限られ、曖昧なものになっている。そこで、直接血糖値を管理すればよいが、血糖値は簡易測定であっても指などに針を刺し直接血液を採取し測定する侵襲検査に頼っている。このことは、身体的負担が大きいばかりでなく、感染症の危険性も高まる。そこで、我々は現在様々な病気診断にも活用されている尿に着目し、食前・食後の尿糖を管理することで糖尿病の予防管理を適切に行えると考えた。尿糖の管理には尿糖試験紙が一般に販売されているが、診断は試験紙の色の変化を色調表との比較により判断するため、外光による影響や個人により判断結果は曖昧なものになっている。そこで、客観的に判断が可能なように、尿糖試験紙の色をセンサにより測定し、その値から尿糖値(グルコース濃度)を表示管理するデバイス「iBuki」を開発した。また、煩わしかった測定値の記録もデバイスに保存されるため、WiFiによりPCやスマートフォンと接続することにより、測定結果を数値及びグラフで確認することができる。将来は、医療機関との連携により、適切な糖尿病の予防指導が行えることが期待できる。

　「Baby Informer」は、乳幼児の寝返りなどによる窒息事故やSIDS(Sudden Infant Death Syndrome:乳幼児突然死症候群)を予防するために、乳幼児就寝状態通知デバイスとして開発した。自宅や託児施設などで乳幼児の窒息による死亡事故が後を絶たない。その原因の一つに乳幼児が就寝中に保育者が監視を怠り、その間に寝返りなどによって呼吸ができなくなり、事故が発生してします。常に保育者が乳幼児を監視できればよいが、現実的には不可能であるし、保育者の精神的負担も大きい。そこで、我々は乳幼児の就寝状態を通知するデバイス「Baby Informer」を開発した。「Baby Informer」は小型軽量(30mm×30mm,バッテリーを含んでも35g)で乳幼児の服に直接取り付けることができ、異常(仰向け以外の姿勢)になった場合に、保育者のスマートフォンなどに音声と画像で通知するシステムである。通信距離は50m程あり、乳幼児の就寝中に同室で直接監視する必要性はない。このことにより、乳幼児の安全確保ばかりでなく、保育者の精神的負担の軽減にも繋がると期待される。

　2016年4月17日に宮城県仙台市で第7回国際ナノ・マイクロアプリケーションコンテスト国内予選が開催され、7月6日～8日にフランスパリで開催される世界大会へは、京都大学のチームと本校のコンピュータ部２年生Team RTOSと３年生Innovation ROBOT Teamの3チームが日本代表として出場権を得ることができました。世界大会へは、

1１ヶ国23チームが参加し、「First Prize」奪還を目標としていましたが、結果はTeam RTOSがThird Prize、Innovation ROBOT TeamがSpecial Prizeでした。本校は、5年連続で世界大会へ出場、4年連続で入賞をはたすことができました。

　本校のコンピュータ部では、今後も社会性の高いものづくりを意識し、ロボット・医療機器の研究開発に取り組んでいきます。